生にすがりつき、見果てぬ世界へと旅立つ者たち
宇宙を飛ぶ小型宇宙船の中に、二人の人間がいた。
「危ないところでしたね」
「本当にぎりぎりだったな」
眼前に広がる彼らの故郷、地球は赤く染まっていく。
「地球滅亡まであと一年と聞いて、それから宇宙船を作ってよく間にあったと思いますよ」
「うむ、しかし、おかげで我々は助かったのだ」
宇宙船はゆっくりと地球から遠ざかっていく。地球はもう、生物の住めない状況になっていた。
「助かりましたね」
「助かったな」
ほう、と肩をなでおろす二人。
「ところで私は気になることがあるのですが」
「なんだ」
「この先、我々は生き延びてどうなるんで?」
「そんなこと知るか」
そして彼らは今日も、宇宙船という名の棺桶に乗って宇宙を進むのであった。
完
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