「バカな……ほたるが、悪魔憑きだったなんて」
 真実を知った彼は、唖然と口を開いた。
 自然と、拳が震える。
「悲しいだろうが……それが真実なんだ。わかってくれ」
 低い声が響く。
 その言葉は、少年の心を癒すどころか、逆に深々と傷を負わす結果となった。
「……なんとか、ならないんですか」
「一つだけ、方法がある。それは、彼女の心の中に潜む悪魔だけを倒すことだ」
「悪魔を……倒す?」
「ああ。奴の正体は魔王ベルゼバブ……それを倒すことが、彼女を救う唯一の方法だ」

 ルインの種

 第三章:希望を胸に〜swordmaster〜


「よく来たな、藤崎昴……待っていたぞ」
 扉の奥から重く、暗い声がする。
 それは、底知れぬほどの恐怖。強大な負の力によって構成されていた。
 昴は、ためらうことなく、その奥へと進む。強大なベルゼバブの魔力を感じながらも、ほたるのため、勇気を振り絞った。そこに、気弱な藤崎昴の姿はなかっ た。

 ベルゼバブは、いた。
 玉座に座り、闇の中から金色の瞳を光らせ、昴を威圧していた。
 しかし、昴は物怖じしない。全身から溢れ出る勇気が、彼の背中を後押ししていた。
 それを見てか、ベルゼバブはニヤリと怪しい笑みを浮かべる。

「昴よ……戦う前に一つ言っておくことがある。お前は私を倒すのに『聖なる石』が必要だと思っているようだが……別になくても倒せる!」
「な、何だって!?」
 その発言に、昴は驚愕の表情を浮かべた。
 だが、考える暇も与えず、続けざまにベルゼバブは言葉をぶつけた。
「そして、お前の両親はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた。あとは私を倒すだけだなクックック……」
 ベルゼバブの口元が三日月状に歪む。
 もはや、言っていることは支離滅裂だったが、なんとなくそれでもいい気がしてきた。
「フ……上等だ」
 昴が、一歩前へ出る。
「オレも一つ言っておくことがある。このオレに生き別れた妹がいるような気がしていたが、別にそんなことはなかったぜ!」
 勇ましく、空虚な内容の一言だった。
 新設定過ぎて、もはや読者はついていけない領域だろう。
「そうか」
 ベルゼバブが、闘志を剥き出しにする。それが、決戦開始の合図となった。
 昴が剣を抜く。

「ウオオオいくぞオオオ!」
「さあこい昴!」

 ご愛読ありがとうございました!



<あとがき>

 ようやく、ルインの種の完結編を世に出すことが出来ました。
 本当に長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません。
 あまりの長展開に、読者の方がついてこれないのではないかと思い、本当に試行錯誤の連続でした。
 ですが、こうして完成させることが出来たのは、ひとえに皆さんが待っていてくださったからだと思います。本当に感謝しております。

 それにしても、とんでもない内容だと改めて思います。
 ですが、これが今の浅葱つくみの実力であり、全てです。ええ、ワリとマジで。
 ただ、もちろんのことですが、本日の日付は4月1日だということをお忘れないように。

 忘れられると困ります。
 本気で泣けてきます。

 こんなのを最終回にする……というか、こんな作品を「ルインの種」本編にする気なんてありませんことよ!

 というわけで、本編はもう少し待っていただきたいと思います。
 この作品は、4月2日になったら消すので、そのつもりでよろしくお願いします。再公開……いや、する気なんてないんだからねっ!


 それでは、浅葱つくみの4月バカにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
 全力でぶん殴ってくださっても結構です。