ヨー ロッパ旅行珍道中記

No.3−8/17〜8/19: Italia

13日目 8月 17日 (日) Paris(France)→Milano(Italia)→Venezia−車窓を眺めよ

 朝である、とにかく早朝から出発である。
 出発は日の昇らないうちに……それはもはや定番となりつつありますね。

 この日は実は、今後の旅行を大きく左右する非常に大変な一日だったりする。
 僕らの目的地はイタリアにある、水の都ヴェネツィア。
 地図を見てもらえればわかると思うけれど、パリからイタリアまでって結構距離あるんだよね。

 もちろん、途中のミラノで泊まるという手もあったが、何せ寝台列車に乗れなかったのと列車の予約が取れなかったのとで、結構予定がギリギリになってし まったのだ。

 最高のパターンは、この日のうちにヴェネツィアまで行ってしまえること。
 ただしそのためには、ミラノにて「ヴェネツィア行きの切符を買えること」と、「ヴェネツィアからドイツのミュンヘン行きの寝台列車の予約ができること」 が条件。
 どちらかが欠けると、ドイツでの楽しみが大幅に減ってしまうのだ。

 そうしてパリのリヨン駅を眠い目をこすり、パンをほおばりながら出発。
 さらばパリ!


 さて、ここからは非常に地味な話。
 電車の中でできることなんて、ギンコと話したりPSPやったり音楽を聴いたり車窓から外を眺める程度。

 もうすっかり鉄道の旅にも慣れていたので、緊張感はほとんどゼロ。
 というわけで、ギンコが持ってきたポータブルマグネット将棋で対戦だ!

 ……結果は惨敗だったが。
 フランスからイタリア行きの電車の中で将棋をさしている変人がいたら、それは僕らです。


 さてさて、電車はスイスを迂回し、大自然の中を抜けて昼過ぎにミラノへ。
 約8時間にも及ぶ長旅ですよ。あまりにやっていることが地味なので書くことがないけれど、実際よく耐えたよ、僕ら。

 ミラノにも見所はあって気になるけれど、のんびりはしていられない。
 まずはすぐに切符予約へ急ぐ!

 ……ところで、私たちは一応国を移動したのだ。
 もうここはフランスではなくイタリア。それなのに入国時にパスポート見せろも何もない。超不思議。
 そんな不思議はスルーして、チケットを予約することに。

 「すまんす、ヴェネツィアまでのチケットをください」
 と受付に行けば、「10ユーロ」という返事のみ。
 ……寝台列車の予約も出来るか訊ねたかったので、話を続けようとしても、「10ユーロ」と言って、右手を適当に出すのみ。
 そしてその左手にはケータイ電話。

 ……メールの返信を早くしたがっている!?

 その仕事態度とか日本人的には考えられないけれど、某マンガを読む限りイタリア人ならば仕方がないと言う感情も。
 まあ、とりあえずヴェネツィア行きの切符は入手。
 どうやら寝台列車の予約は別のところだったらしいので、そっちにも移動。

 はっきり言って、このときが一番緊張したのだが……寝台列車は無事空いていたようで、予約に成功!
 あまりにことがスムーズに運んでビックリ!
 ただ、おばさんの態度がやっぱり超テキトーだったのが気になったけ どね。些細なことだよ!


 というわけで、予定は無事に進んだので、駅の売店でフォカッチャを購入し、今度はミラノからヴェネツィアへ。
 この移動も非常に地味……地味だけど、長い……。朝7時過ぎに出発し、ヴェネツィアに到着したのは大体18時だったり。

 ところで、ヴェネツィアは水の都と言われているわけだが、全く持ってその通り。
 半島から海に架かる長い橋を渡り、到着すれば車の音はなく、響くのは船のモーター音だけ。
 全ての移動手段は船と言う、まさに水の都なのだ。

 
 さてさて、何はともあれまずやらなければならないのはホテル探し。
 ヴェネツィアは各国から金持ち連中がやってくるので、ホテルも高い。
 おかげで、ランクを落とさないと学生では到底泊まれない。

 そんなわけで、駅前の立地のいい場所から少々離れたけれど、それでもいい場所を発見。
 薄暗いけれど、裏手に公園があるのか緑に囲まれたのんびりしたところでした。写真がないのが残念。

 すんなり2泊分予約できたし、宿が確保できれば後は怖くない。
 部屋は……まあ最低ランクと言うことで、ベッドとトイレがあれば問題はない。
 壁がシミだらけだったりとちょっと気になったけどね。これ、伏線だからチェック ね。


 ところで、今までは全然食事ウマーな話題が出てこなかったので薄々感じている人がいるかもしれないが、我々、まともな食事を食べていない。
 基本的にパンがあればそれを頬張る、が基本パターンだったもので。

 何故ならイギリスは、食事に期待なんて出来ない。
 フランスはよくわからない。そんな理由でレストランに入れなかっただけなんだよね。

 だが、イタリア料理は日本人だってわかる。
 そこにマルゲリータとあればマルゲリータが出てくるに違いないのだ。しかも本場の!

 というわけで、お金使おうぜ、と夕食はレストランへ。
 ピザと蟹のパスタを食す。まずいわけがない! まずいわけがないだろう!?
 もう全力で幸せ。ピザ大好きです、ぴざー。好きとはいっても滅多に食べないけどね。

 あと飲み物は、水でもよかったのだがレモンソーダと言う興味を引かれるものがあったので頼んでみたら、ものすごく酸っぱかった。
 見れば、果汁12%だと。そりゃ酸っぱいわ。


 夕食後はホテルに帰り、ゆっくりと就寝モードへ。
 今までのところは夜になると涼しいというか、ちょっと肌寒い程度まで気温が下がったのだが、イタリアはそういうこともなく、少々涼しいものの夏ってい た。
 だが、安いホテルということで冷房もついていないので、窓を少し開けて眠ることにした。涼しい風が入ってきて、気持ちよく夢の中へ……中へ……。


 ……が、真夜中に幾度となく襲い掛かる異変。
 耳障りな羽音が、何度も、何度も耳元で。

 おかげで何度も目を覚ますことになり、しかし夢うつつなのでひたすらに耳を塞ぐけれど、寝るたびにブンブンと羽音に起こされる……そんな寝苦しい夜に。
 ……蚊ぐらい出てもおかしくない……いや、そう思ったさ。で、結局無視して寝たさ。

 おかげで、翌朝目が覚めてみたときには手足が悲劇的なことになっているわけだが。

 水の都ヴェネツィア。
 後ろは緑がたくさんある公園……そう、すなわちそこは蚊の温床だったのだっ!
14日目 8月 18日 (月) Venezia−水面を眺めて

 翌朝の目覚めは最悪。
 ギンコに蚊の事を訊いてみると、彼も眠れなかったとのこと。
 そりゃそーだ、もう何箇所刺されたか、数えるのも面倒なほど刺されていたし。

 朝食はやっぱりパンにコーヒー。いい加減飽きたとかそういうことはないよ。
 パン好きだし。

 この日の予定はとにかくヴェネツィア散策。
 ここはもう目的なんてなく、ただ歩いてみたい、そんな気持ちで出発だよ。

 
 まずはスタート地点、駅前から一枚。
 雲一つない快晴でした。

 ここからまずは船のチケットを購入。
 車がないため、移動手段は全て船なのだ。すごく素敵だと思う。
 ちなみに、チケット売り場の女性はパソコンの画面を見て大爆笑しながら仕事していた。本当にテキトーだ。

 
 船……いわゆる水上バスに乗りましたー。
 写真は鉄道の駅前。
 ここからヴェネツィアをS字に走る運河を進んで、一気に奥へと向かいますよ。

 
 15分ほど乗って、サン・マルコ広場に到着ー。
 ヴェネツィアといえば、ここが有名らしい。直前まで知らなかったけれど、やっぱり観光名所は回らないとね。

 それにしても人が多い。
 しかもほぼ全員が観光客。日差しは強いし、非常に暑い。
 あと、ハトが異常に多い。そりゃ観光客が餌を与えまくっているので、集まってくるのも仕方ないけどね。
 子供が囲まれて半泣きになっていた。怖いだろうなぁ……。

 
 サン・マルコ大聖堂である。
 もうこの手の建築物は見まくりだけど、それでもやっぱり感動はするものである。
 ただ、写真を撮るのは半分以上が条件反射。

 しかし、中に入ろうぜぇ、と並んでみたらリュックを持っている人は駄目よんと言われてしまった。
 爆弾なんて入れていないんだけど……ちょっと残念。

 このサン・マルコ広場には結構お店が並んでおり、観光客向けの商売だからお土産物ばかりだけど、覗いてみると面白い。
 特に目に付くのは、カルネヴァーレというお祭りで使われる仮面。
 これ、日本でもたまーに売っているけど、インパクトは絶大。写真はないので、ググるといいと思うな。

 あまりに暑かったので、アイスクリームを購入。よく映画で見られる3段重ねなんてことはしなかったけどね。


 ヴェネツィアの楽しみ方は色々あると思う。
 水上バスに乗りまくって、観光名所を回るのもいいと思うし、ゴンドラを借りて優雅に楽しむというのもあり。

 ただ、何もかもが高い。
 ゴンドラなんて1時間60ユーロ(約10000円)だしね。
 また、僕らは今までの旅行記を見てもらえばわかると思うけれど、ただあてもなくぶらぶらするというのが非常に好きだったりする。
 というわけで、ヴェネツィアの楽しみ方の一つ、路地裏をぶらぶらと歩き回る、に決定!

 この町は、危険がほとんどないと言われるぐらいに安全な町なので、路地裏に入っていっても問題はないのだ。
 ……と「地球の歩き方」に書いてあった。楽しそうだし、とにかく人のいないほういないほうへと入っていきます……。

 
 こんな風に、水路をゴンドラが走って(?)います。
 また、金持ちだとアコーディオン弾きのお姉さんを乗せて、もっと優雅に楽しんでいたりもする。
 時間が経つのを忘れる、そんな素敵な町だね。

 
 路地のほうへ入っていくぜ……。
 橋の上から水路を撮影。民家はまさにこんな感じ。

 
 暑い日だったので、犬もこの通り。
 滅茶苦茶かわいかったので、つい撮ってしまった。ちゃんと水は飲むのだよ。

 
 メインの運河に出た。
 この大きな運河が、町の中をS字に通っている。
 この運河の周りにはお店もたくさんあるのです。

 小腹も減ったことだし、ランチタイムということでピザ屋に突撃。
 大変美味、ピザがおいしくないわけがない!

 
 路地裏探検再開。
 一応目的地は、スタート地点の駅前と設定。あとはもうどこを歩いてもいい。
 自由にのんべんだらり……時間はたっぷりあるさ。

 ちなみに、ここから先、どんどん人が少なくなっていきます。

 
 こういう小さな水路に出ることも。橋があればラッキー。橋がなければまた戻って別の道へ。
 まるで迷路の世界にいるような。
 この町に住む人は、モーターボート必須だね。

 
 お、なんだか先に進めそう。
 と、こういう道には入れたらラッキー。人通りは多くなっちゃうけどね。
 駅前やサン・マルコ広場の喧騒はすごいけど、ここは本当に静か。何の音もしない。

 
 にゃー。

 猫もひなたぼっこか?
 かわいすぎて仕方がない。

 
 無事スタート地点へ到着。
 ここまでおよそ2時間ぐらい? のんびりのんびり。それがいい。

 というわけで、ヴェネツィア散策終了。
 路地裏はこんなところ通ってもいいの? というぐらいに狭い道や、変なところについて面白い。
 かと思えば、急に広場に出てみたり、レストランがあったり。耳を立ててみると民家からピアノの音が聞こえてきたり。
 とっても素敵。

 ここまで帰ってきたら、駅前でぶらぶらするなり、適当に過ごす。
 日本に帰ってからこの文章打っているのであれだが、本当にこのときは時間を無駄に使うことが無駄ではないと感じられるね。


 そうこうしているうちに、18時。
 そろそろ夕食かなーということで、適当にぶらぶらと散歩してレストランを探すことに。

 この日は、海の香りにたくさん触れたので、やっぱり食べたかったのは魚。
 ヴェネツィアに来たんだ、魚を食べないでどうするよ!?

 ……と、たどり着いたのは、水路の近くのレストラン。

 
 テーブルの横は、こんな感じでモーターボートが走ってます。
 女性がナンパされていたり、それに応じていたり。いやいや、なんともフリーダムな空間だ。

 僕は今日のオススメということでスズキのボイル焼きを注文。
 本人がオススメと言っているのだ、おいしくないはずがない!

 
 これは……やばい!
 どう考えても美味そうだ!

 すると写真を撮り終わったころにボーイがやってきて……

 
 開いてくれました。
 さあ思う存分に食うがよいさ! と言われたら、イエッサー! もちろんであります! と答えよう!

 というわけで、口に放り込むぜ!


 ……超☆美味!


 これ以上言うこともあるまい。


 食後はのんびりとホテルへ。
 カウンターのところにいるおじさんが、youtubeをグダグダと見ているのが気になったが、まあ暇なら仕方がない。暇なら仕方がない。
 日本人もこれぐらいユルユルでよくないか?


 さて、部屋に入ったが……そうしていると昨晩の悪夢がよみがえる。
 とりあえず窓は締め切ったが、やつらはすでに侵入しているのだ。
 ひっそりとそのときを待ち、夜になったら出てくる……そうに違いない。

 そう思っていたら、フツーに壁にとまっている蚊を発見。
 スリッパで思いっきりつぶしたら、壁に赤いシミがついちゃいました。あれまー……。
 ……そこで僕らは気付いた。

 この部屋に入ってきたときに気になっていた、壁のシミは前に泊まっていた誰かが蚊と格闘した後だったと言うことに!

 その数は結構膨大。
 黒かったり赤かったり。そう思うと無性に気持ちが悪くなってきた……が、そこで止まってはいけないのだ。
 天井を見れば、蚊が3匹! そう、やつらを殺しきらない限り、安眠はありえない!

 「寝ている最中に、羽音が聞こえたらどちらかが寝てようと構わず電気をつけ、そして戦おう」

 そんなこんなで、寝る前に激闘が始まったのである!
 スリッパという凶器を片手に、戦闘、戦闘、戦闘! 逃げ回る蚊を2人で追いかけ、そして殺していく!
 確認できるだけで部屋には4匹。それらを1匹1匹叩きつけていった。

 そして、1時間後……平和が訪れたのでありました。
 時計を見て、何やっているんだ俺たち、とか思ったのはあえて言わないでおこう(書いちゃったけど)。

 そのおかげで、その日はゆっくりと眠れた。
 夏のヴェネツィアに行ったら、窓は開けない。これから行く人は、覚えておくといいと思うよ!
15日目 8月 19日 (火) Venezia−僕は船乗りになれない

 ヴェネツィア3日目ー。
 この日は、今までとはちょっとパターンが違い、早朝出発で電車に乗って移動……ではなく、夜23時に寝台列車に乗ってドイツへ行く、なんてそんな予定。

 だから、この日はチェックアウト後に駅へと荷物を預け、そこから一日中ヴェネツィアで遊びまくるぜ、なんてそんな日だったり。
 というわけで、荷物を預けたら再び散策の旅へと出発。

 今度は行きから徒歩だぜ!

 
 出発。
 またこんな路地裏を歩けると思うと、胸が躍る。

 
 暗くて細いけど全然危険はない。
 上からたらいが降ってくるとかそういう危険はあるかもだけど。
 むしろ落ち着く?

 
 ゴンドラと出会ってみたり。

 
 行き止まりにぶち当たってみたり。

 
 ならば別の道へ!
 迷う? 方向感覚わからなくなる? 太陽があるから大丈夫!

 
 市場に出た。
 本当に何があるかわからないから面白い。とっても不思議。

 
 やたら人通りの多い商店街に突入。
 不思議でいっぱいだね!

 マジで飽きないですよ、この町。
 昨日と今日、この2日間の日記の写真だけで伝えられるかわからないけれど……。
 何も目的なくぶらぶらと歩いていても楽しいものです。

 お腹がすいたので、適当なお店に入りピザを食べる。
 この3日間、ぶっちゃけピザばっかり食べているんですけど……。


 
 食後は、サン・マルコ広場の方まで来ちゃいました。
 でも興味は広場ではなく、海の向こうに見える島……なんだか楽しそう!

 
 というわけで、渡ってみた。
 ……真ん中に見える塔と、その右にある建物がサン・マルコ。

 ちなみにこの島には何があるのか?

 
 はははーすごいぞーかっこういいぞー。

 というわけで、上ってみました教会タワー。
 この島はサン・ジョルジョ・マッジョーレ島なるところで、そこにあるサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会のタワーに上ってみた。
 サン・マルコ広場にも塔があるけれど、そっちは大変な混雑だからね。こっちは3ユーロで上れちゃいます。
 ……別途、船代はかかっているけど。でもそれでも静かだし安い!

 
 ウェアーハッハッハ! 見ろ! 人がゴミのようだ!

 ヴェネツィア全土が見渡せる唯一の場所とはよく言ったもので、ここはかなりのオススメスポットではないかと思う。
 風も気持ちいいしね。

 ……で、どうやって帰るんだ、ここ。

 
 いや、単に船に乗って帰ればいいんだけどね。
 次の便がいつ来るのかなーとか。
 この島には教会しかない。マジ。

 ヴェネツィアの周りの海をぐるっと回って、駅前に戻るのが一番楽だと判断。
 わざわざヴェネツィア内のS字運河を通っていると、遠回りだしね。

 そう思って、外海を回るルートを選んだのがそもそもの失敗だった。
 浅葱つくみ、弱点は船。

 そう、車も飛行機もそれなりに平気なのに、船酔いだけはひどい。
 それまでは運河の中とかそういう楽なところだったからいいけど、今度は波のある海だ。
 そんなところを30分近く時間をかけて……。

 乗っていながらどんどん気分悪くなる自分。
 酔い止めも飲んだところでちょっと遅いというか……まあ、まさにグロッキー状態全開で、はらほろひれはれと駅前にたどり着いた。
 もうそのままふらふらとベンチに座り込むしかない。いやもうマジ、船勘弁……。


 ふらふらよぼよぼ状態も、海の風に吹かれて回復し、そして我々が次に向かった先は……ネットカフェ!
 いや、お前ら……せっかくヴェネツィア来たのにそれはないだろう……とか言うなかれ。

 こっちは日本の情報が全く入ってこないんだ。
 日本との連絡手段もないし、テレビは良くて英語なのだ、全然理解できない。

 というわけで、ネットカフェへ。
 インターネットはいい。とりあえずアドレス打てば日本語サイトへ飛べるしね。
 ここでオリンピック情報やら親とのメールやら日本がどうなっているか、情報入手。

 星野JAPAN惨敗には猛烈にビビッた。


 あとは、ちょっと駅前をふらふらし、公園でまったりしてみたりした後に初日に食べたレストランでカルボナーラを。
 カルボナーラも一度食べておきたかったのだ。だって、卵だよ? パスタだよ? そりゃ美味いだろう。
 実際、美味。イタリアでの食事は一切ハズレ無しだったね!

 そうしてそのレストランでトークしながら時間つぶし、ヴェネツィア駅へ。
 ヴェネツィアは完全にイタリア本土から離れてしまっているため、そこから電車に乗ってメントルという別の駅へと行かないと、寝台列車には乗れない。
 そんなわけで、荷物を受け取り、メントルへ向かうことに。

 ……が、メントルへ行くにはどの電車に乗ればいいのか、わからなかったので、インフォメーションで訊ねてみたら日本語で「次の電車で1駅ですよー」と教 えてくれた。
 日本語にマジ感動! ありがとうと感謝の気持ちいっぱいで電車に飛び乗り、1駅後の駅で降りました!


 ……ら、そこはなんだか知らんが無人ステーション。
 人いない。周りは高速道路。駅は暗い。なにここ。

 ホームも2つしかないし、はっきりいってさっぱりよくわからない。
 確かに1駅と言われていたので、止まった駅で降りたのだが……その、もっとよく確認するべきだった。
 全然関係のない駅だった模様。
 本当にイタリアの人々は仕事がテキトーなんだから!

 しかし、そんなことを言っていても仕方がない。
 ヴェネツィアにも戻れない。メントルにも行けない。電車は目の前を通過していくのみ。
 人はいない、空は暗い、案内板はイタリア語。どんどん不安という感情が大きくなっていく! マジ、俺ら、どうなるよ!?

 もう仕方がないので、駅に貼ってあったダイヤとにらめっこ。
 本には5分おきにヴェネツィアから電車が出るとあったけれど、この駅に止まる電車なんてほとんどない。
 寝台列車の出発時間はまだまだ先とはいえ、いつまでもここでのんびりしているわけにはいかないのだ。

 でも、なんとか数十分後に電車が来て、しかもそれがこの駅に止まることを確認。
 時間通り電車はやってきて、止まってくれました。

 ……が、扉が開かない。
 わかってる、ヨーロッパの電車は扉の横にあるボタンを押さないと開かないんだ。

 ……が、押しても開かない。
 むしろ反応しない。

 無性に不安になり、焦って別の扉へ。
 ここで、この電車を逃すことがどんなに恐ろしいことか!
 すると、別の扉は開いており、おかげで無事に乗車成功。

 ……なんか、後ろの車両は停電していたらしい。
 もう心臓が止まる、というぐらいに焦った。落ち着けば大した話じゃないんだけど……やっぱり異国だと不安にもなるよ。
 ギンコがいてよかった。

 そんなこんなで、一苦労あったもののメントルには無事到着。
 こんなどうでもいい話だけで、これだけ文字数稼ぎました。すみません。


 メントルは、どうも寝台列車に乗る人々が多いご様子。
 僕ら以外にも、荷物を持った若い人々が駅の至るところでたむろっていました。

 なんだかんだあったけれど、1時間以上時間の余裕があったので、適度にくつろいでいたり。
 ……と思ったけれど、自分らが乗る寝台列車が、駅の案内板を見る限りでは、ミュンヘンへ行ってくれるのかどうかわかり辛かったので、一応インフォメー ションで訊いてみることにしました。

 インフォメーションにいたのは、なんだかスッキリとした顔立ちのおじさん。
 もうすぐインフォが閉まる時間だと言うのに、僕らの前の人々に対して精力的に、そ れはもう精力的に対応していました。
 ええ、インフォからわざわざ外に出て、大声であそこのホームに行くのだ! とか言っていたり。無茶苦茶働き者。

 というわけで、僕らもこの人なら安心だ、と思って訊こうと思ったら、おばさんが乱入。
 よく聞き取れなかったけれど、おばさんの言葉に唖然と言うかなんか一瞬、おじさん の動きが硬直。
 ……と思ったら、両手を横に広げながら「何故わからない!」みたいなことを言い、その後おばさんを無理矢理押して、「階段を下りろ! 早くしろ! 行く んだ!」と怒鳴っていた。

 これは想像なんだけど……そのときちょうど階段を下りた先にあるホームに電車が来たところで……おばさんはその電車に乗っていいのかどうか訊きに来たの ではないかと。
 多分、おじさんの反応から言って、2度目なんだろうね。

 ものすごい剣幕と対応、そして両手を広げると言う映画の中でしか見ないようなオーバーリアクション!
 イタリアで一番働いている人だ! とそのとき本気で思った。
 もうインフォの閉まる時間はとうに過ぎていたのに!

 こうして、また僕らの中で、インパクトの強い人物として記憶に刻み込まれたのであります。

 ちなみに、僕らの質問に対しても精力的に答えてくれました。
 「そうだ! それでいいんだ!(だから、そんなくだらない質問をするな!)」みたいな。
 お疲れ様です。


 なんだか、この日は行動時間が長い分、書くことが多い……。
 ちょっと伝わるかどうか不安だけど……もうちょい続きます。

 寝台列車は、23:30に到着。
 無事に乗ることもでき、3段ベッドの一番上に自分たちのベッドも発見しました。
 初めての寝台列車に、僕もギンコも、大 興 奮 。

 寝台列車のイメージは……寒い。
 冷房が効きすぎていて、ちょっと寒いと感じたけれど、毛布をかぶれば問題なし。
 もう胸を躍らせワクワクですとも! ホテルを取る必要もなく、寝ているだけでドイツに行けるんだぜ?
 最高じゃないか!


 さて、荷物とかも整理できて、寝ようかなーと思ったら、車掌さんがやってきました。
 この車掌さんが超イケメン。

 若い人なんだけど、モデルかなんかか? ぐらいに、すらっとした顔立ち。
 しかも落ち着いていて、いかにも仕事できそうな感じ。

 「こんばんは、本日はご乗車いただきましてありがとうございます」

 こんな感じですね。

 「失礼ですが、国境を越えるのでパスポートをお預かり致します」

 やばい、すごくわかりやすい英語。
 サービス業として、もう最高レベルの対応ではないだろうか。

 「明日は、6:30に起こさせていただきます。それでは、おやすみなさ い」

 ……と、そつなく仕事をこなし、去っていきました。
 しばらくとんでもない人々しか相手にしていなかったからか、こういう仕事人がすごく輝いて見えた!

 きっとドイツ人だろう。
 なんてそんなことを思いながら、布団にもぐりこみました。


 消灯したあと、時計を見てみれば23:59。
 そこからカウントダウンし、僕は1つ年をとりました。

 異国の地で誕生日を迎えるというのも、また乙なものだ。



 <次回予告>

 「また……ですか」
 「また……ですね」

 いよいよドイツに到着した、浅葱つくみとギンコ。
 だが、そこには今まで以上の試練が待ち構えていた!

 「Are you the Italian!?(前らはイタリア人かぁ!?)」

 抱腹絶倒!? それは俺の文章力次第だが、とにかく想像を絶するスーパーキャラクターが登場!

 「I like the taste.(その味は好きだわ)」

 素晴らしい景色と忘れられない思い出!

 2008年夏ヨーロッパ旅行珍道中記FINAL!
 人情溢れるドイツの旅! 高級ホテルは死の香り!

 この次も、サービスサービス!


 ※執筆中だったNo.4ですが、HDのクラッシュによりファイルを損失してしまいました。誠に申し訳ございませんが、当分更新できませんのでご了承くだ さい。

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