ヨー ロッパ旅行珍道中記

No.1−8/5〜8/9: England

出発まで Tokyo−愛しさと切なさと心強さと

 さて、今回の旅行を行くにあたっての経緯をまず書いておきたいと思う。
 そもそもなんで海外へ行こうだなんて思ったのか。実は僕も、最初は海外かー……どうなんだろうなぁーみたいな気分だったんですけどね。

 「今しか行く機会ないよ」

 これですね、親のこの言葉ですね。
 あまり考えたくないけれど、これから先社会人になるわけだし、日本人は欧州の人と違って長期間のバカンスをとってyeah! なことはしないし、長期間ヨーロッパへ旅行なんて出来ないと思った わけですね。
 僕、「今が最大のチャンス」とか「これを逃したら後はない」とか、そういう言葉に弱いのだ。

 え、それで怪しいものを買わされなかったか?
 いやだなぁ、そんなことないですよ。

 で、気合が入っちゃうと急に猪突猛進、あとは全力ターボで突っ込む男、それが浅葱つくみ。されど、冷静になってみると、一人っきりで行くのはどうなんだ ろう、と。
 特に僕の場合、足元が崖でそれ以上進んだら落ちてしまうよ! ってところでも、結構平気じゃね? とか思ってぼーっと歩いていくタイプなのだ。
 色々な人によって、軌道修正……「ちょ、おま、真っ直ぐ歩け!」と支えられ、「無事つけたねー、良かったねー」とか言っちゃうタイプなのです。

 というわけで、気が知れた友人でしかも海外に興味を持ってそうな人、というのを探すことになったのだ。
 二人ならば心強いしね。

 そうすると、候補に挙がったのが小中学校と同じ学校に通っていて、未だに仲の良い我がフレンド銀蠱(ギンコ)であったのだ。
 そんなわけで、まだ僕らがモンスターハンターに興じていた頃、ダメ元で「夏休みにヨーロッパ行かねぇ?」と訊いてみたところ、まさかの一発OKをもら い、ヨーロッパ旅行行きが確定したのである。

 ヨーロッパで行きたい国を決定するのはワリとすんなりいきまして、まずイギリスは絶対行かなければ、そうしたら次はフランスだろう、ギンコがヴェネツィ アに 行きたい……ということでイタリア、そして、これは幸運だったのだが、親の昔の知り合いにドイツ人の方がいらっしゃいまして、その方の家に泊まらせていた だこう、ということになったため、ドイツ。
 よって、イギリス→フランス→(スイス)→イタリア→ドイツに行くことが決定しました。

 で、僕は結構計画性のない男でありまして、準備段階の結構面倒くさい部分は全部彼が調べてくれちゃったり。
 ギンコは「仕事が早い」人間なのです。いや、正確には「仕事を早く済ませないと気がすまない」人間か?

 「地球の歩き方」(いわゆる旅行用ガイドブック)とか、「ユーレイルグローバルパス」(ヨーロッパ主要都市の電車乗り放題券)とか、そういった便利グッ ズを「ソイヤ!」といち早く発見してくれたおかげで、6月の段階で旅行モードへと入っていくことに成功したのです。

 ただ一つ、「ホテルとか列車とか全部予約しないとヤバいんじゃないか?」という意見だけは、「いや、それは自由度が下がる。現地で予約し、現地でホテル を見つけよう」と、僕が払いのけたわけですが。
 そのときはまだ、「他の人も出来ているし、インフォメーションセンターもあるし、余裕じゃねー?」みたいなノリだったんですね。
 僕、苦労したかったんだ。だって、Mだもの。


 長くなったけれど、そんなわけで旅行に必要なものも揃ったし、7月のテストも乗り切れたし、8月3日には変態が僕のために早い誕生会を開いてくれたし、数多くの人の支えもあって無事に出 発日を迎えることが出来たわけです。
 この段階で、一体何人の人に迷惑をかけたのかなぁー? うわぁ、みんなごめんなさい&ありがとうー!

 

 写真は誕生日プレゼントの数々。
 お前ら愛してる、ホント愛してる。そして一つ物申す。僕を何だと思っているのかし ら?
 見せられないよ! の部分はお察しください。変態の犯行です。愛して る。

 ねーねーおかあさーん、左下のビニール袋はなにー?

 しっ、見ちゃいけません!


 ところで、海外に行ってきます、というのは当然ゼミをはじめ、バイト、部活などなどに連絡をする必要があったわけです。
 バイトは何とか空けてもいいという許可が下りたので休ませてもらい、部活には「忙しいんですーごめんなさいー」とお断りをいれました。
 が、ゼミにて「行ってくるッス」と言ったところ、先生に「フィールドワークの宿題は向こうでやって来い♪」とにこやかに言われてしまったため、やたら ハードルの高い課題をやる必要が出てしまいました……。
 先生、基本的に楽しいこと大好きだからなぁ。

 「じゃあ、向こうで飲まれているペットボトルについて調べてきます」、と言ったら、つまらないと返されたため、「向こうから見た日本のマンガ・アニメ文 化について調べてきます」と言ったら「それいいじゃないか!」と太鼓判。
 僕自身興味あったし、課題のテーマはそれで決定。軽いなぁー!


 そんなわけで、全ての準備はOK。
 出発日前日は、適度な緊張感と不安を抱え、しばらく日本を離れることによる寂しさを覚え、そして、期待に胸を膨らませるのでした。
1日目 8月 5日 (火) Tokyo(Japan)→Seoul(South Korea)→London(England)−長い一日、長い旅

 当日は4時起床。遅刻とかもう許されないために、ワリとすんなり起きることが出来ましたね。
 朝食はほとんど腹に入らず……そりゃそうだ。胃なんて目覚めていない。

 5時に駅でギンコと合流。そこから電車で数十分揺られ、高速バスに乗り換えて成田空港を目指しました。
 このときはまだ余裕もたくさんあったし、BUMPがどうたらとかそんな感じで、平和にユルユルといった具合でしたね。

 これから先、どんな恐ろしいことが待ち受けているかも知らずに……ククク。


 i-podで音楽でも聴きながら、ちょっとうつらうららかしていたら、空港にはすぐ到着。
 チケットも手に入れたし、あとはレンタルケータイの引き換えをするだけかなーん、と、余裕を持ってケータイレンタルのお店へ行ったのです……が、ここで ちょっとトラブっちゃいまして、まあなんというか、自分の勘違い&手違い&不運が重なって、ケータイのレンタルが出来なかったのです。
 そりゃ、空いているお店はあったんだろうけど、僕自身飛行機に乗るのになれていなかったため手順もわかっておらず、結構時間ギリギリになってしまったの で、仕方なくケータイは諦め、親に向こうでケータイは使えない、との連絡を入れたり。

 ……いや、ここが一番のミスだったかもしれない。
 結果的に、ケータイはなくてもやっていけたのだが、ドイツで泊まらせていただく方の家へ行くのに電話がないのはワリとヤバイ!? とそのときは真剣に 思ったため、本当に焦った。マジ焦った。

 とにかく、このとき、我々は日本との連絡手段を失ったのである……!
 一番迷惑をかけたのは親かもしれない。


 さて、無事に飛行機に乗ることもでき、行く先はソウル。

 ……ソウル!?


 今、飛行機って高いんです。燃油サーチャージ料とかで。
 でだ、我々学生はとにかくお金がないので、リッチな旅行とか、そういう言葉からかけ離れているんですね。
 そんなわけで選んだのが、ソウル経由で乗り継ぎ便を駆使する方法。これならば、割安で行けるのです。そんなわけで、我々はまずソウルの地へと降り立ち、 そこで数時間すごした後、ロンドンへと飛び立ったのである。

 ぶっちゃけ、ソウルからロンドンまでの12時間が一番苦痛でならなかった気がする。
 機内食の野菜キムチビビンバうめぇ、とか言っているうちは幸せだったのだが、ハンバーガーとか海鮮丼とか次々に食事が出てきたときには、サービスの無駄遣いを感じた。お願い、寝かせて!


 それでもさすがは飛行機。安全かつスピーディーにロンドンのヒースロー空港へ到着。
 降り立ってみればそこは異国の地。周囲の団体からキムチのにおいが充満していたため、そこはかとなく欧州らしさが欠けていたが、空港にいる人々は皆白人 黒人!
 入国審査もアナウンスも表記も全て英語なことに妙な心細さを覚え、不安になってみたり。センチメンタル全開ですね。

 でも、そんなこと言ってられない。時は既に夕方。早くホテルまで行かないと夜になってしまう。
 ホテルは安い&近いが一番、ということでヒースロー空港の近くのを予約のだが、どうも直線距離では近いが電車やバスで行くとなると遠い、という素晴らし い立地だったり。
 おかげで、慣れない地下鉄と電車を、ギンコと二人あーだこーだ試行錯誤しながら何とか乗り継ぎ、肌寒い気候の中、日も落ちかけた頃、ロンドン中心部から は遠く外れた辺境の地に、一つ不釣合いな格好でドンと建ったホテルへと無事到着したのです。

 もう、そのときには満身創痍。
 ああ、遠いところまで来てしまった、という不安、明日はいよいよロンドン市内観光という期待……そんなものを胸に抱え、シャワーを浴びた後はすぐに夢の 中へ沈没しました。
2日目 8月 6日 (水) London−Lost my key

 この日から、写真バンバン撮りまくりでしたよー。

 朝だー! と、ワリとすんなり目が覚めたりして、朝食をとりに一階にある食堂へいくことに。
 だがエレベーターを使って下りる際に、1という数字を押したら普通の客室の廊下に出てしまったり、朝食の際に部屋番号を間違えて言ってしまったりと、ボ ケ連発。
 そうか、イギリスのホテルでは……Gが日本で言う一階なのですね? それとも、それって日本でも常識ですか?

 ベーコンや卵、そしてコーンフレークとトーストという素敵な朝食に舌鼓を打ち、チェックアウト。
 なんだか涼しすぎる気候に戸惑いながらも、田舎からロンドン市内へと向かいます。

 
 すごく……のんびりした村です……。

 さて、ロンドン市内へ向かうのはそれほど大変ではないのです。というのも、先日辿ってきたルートを逆に進めばいいからなのです。
 そんなわけで、余裕だぜーというノリで電車に乗ったら、早速分岐点を別の方向へと行く電車に乗ってしまったらしく、検札に来た車掌さんにツッコまれたり と、のっけから困難にぶつかってみたり。
 なかなか思うようにはいかないものです。

 それでも、ロンドン市内のサウスケンジントンという駅へ到着すると、そこは活気のあるイメージどおりのロンドン。
 日本で言えば、上野といったところだろうか。近くに美術館とか博物館などが多くあるため、夏休みということもあり親子連れがたくさんいました。

 さて、我々は駅からしばらく歩き、目的のユースホステルへ到着。
 ユースホステルとは、若者向けの格安の宿のことなのです。一応。

 相変わらず緊張しまくりで、カウンターのお姉さんに声かけるのもガチガチになりながら、なんとか「予約してきましたよー」ということを伝えてみる。
 ……が、返ってきた答えは「私は今仕事中じゃないのよ」


 ……では、あなたは何故そこにいらっしゃるのでしょうか。


 すると、もう一人の女性がやってきて、今度はちゃんと仕事をしてくれました。
 ようやく部屋も確保できたので、早速観光へ出発。目的地は駅前にある「自然博物館」です。

 博物館とか言うと、なんか高そうーとかお金取られるーとかそんなイメージがあると思うんですよ。

 
 ……ましてや、こんな建物だと。

 
 人多いしー!

 が、驚きの無料。イギリスはここに限らず、博物館や美術館が無料の ことが多いです。
 それぐらいでバランスいいと思うけどね、物価高いし。

 
 中も驚きの広さ。いきなり恐竜の骨格標本がお出迎えしてくれます。
 僕も少年だった頃は、恐竜が大好きでした。ええ、男の子は全力で恐竜に憧れるものなのです、多分そうなのです。

 館内は結構広いようなので、まずは恐竜展を見に行くことに。この博物館の目玉っぽい感じだったし、人が多かったので。

 
 こいつ……動くぞ!

 一番奥には、ティラノザウルスがいました。一応流れてはいたけれど、人がここで溜まってしまったために混雑していたんですねー。
 それにしてもでかい。こんなものが実際に地球上で歩き回っていたかと思うと、不思議でたまらない。
 ロサンゼルスの町とか闊歩された日には、それはもう大惨事ですね。


 その後は、イギリスにて初のランチ、サンドイッチをウマーと食し、地球館という方へ。
 こっちは、写真を撮っていないのであまり細かいことを書きませんが、地震とか水の流れとか、そういった地球の動きについての展示がたくさんありました。
 「ちょwww英語自重wwww」状態だったので、「これは恐らく○○のことだろう」ぐらいしか読み取れなかったのが悔しい。文系と理系というバランスの 取れたメンバーの組み合わせのはずなのだが。


 しばらくすると「博物館ツカレター」と、もう人ごみうんざり状態になったので外へ。
 断っておこう、我々は人ごみが苦手なのだ。人ごみに自分から突っ込 んで行きたくはなかったりするような、そんな二人なのだ。
 そんなわけで、無性に公園行きてぇぇ、となったためにかつてダイアナ妃とチャールズ皇太子が住んでいたという宮殿があるハイド・パークへ。ずっとーな がーめてーいーたー♪(ハイド違い)

 
 こんなひろーい道が公園の中にあります。つーか広いです。

 
 かと思えば、いきなり目の前にこんなモニュメントがそびえ立ったり。すごく……大きいです。

 
 池もあります。どんだけ広いんだこの公園は。

 実際広かったです。かなり歩いたのに、宮殿までたどりつけなかったぐらい広かったです。
 もういいや……と途中退散するほどに。そんなわけで結局宮殿には行かず。そこまで関与度は高くなかったしね。

 そんなわけでユースホステルへ帰還。
 四人部屋と聞いていたが、何故かニ段ベッドが三組あったので、そのうち一組を選択し上下で休むことにしました。

 何故か、一つのベッドには巨大な洗面所用の鏡が置いてあったしね。
 しかも、いつの間にかそれがなくなっているという恐怖。まあ、そんなオカルト話は どうでもいい。

 緊張が続いて疲れも溜まっていたことだし、シャワーを浴びてほっとし、ユースホステルということでカバンにつける南京錠の鍵を財布に入れ、財布も無くさ ないようにそれまではいていたジーパンのポケットに入れ、そしてそれをしっかりとカバンに入れて、南京錠を閉じました。


 ……およ。

 ゆっくりと読み返してみよう。

 鍵は、どこ行った?


 南京錠の鍵→財布の中→ジーパンのポケット→南京錠でロックされたカバンの中


 やらかしたー!?


 はい、やらかしました。
 閉じこんじゃいました。カバンの中に、その、鍵を。

 バカです、間違いなくバカです。
 だが、バカだねーでは済まない。いいか、カバンの中には大事なものがたくさん……いや、そもそも着替えとかそういったものが全て入っているのだ。
 まさか、今後の予定全てを寝巻きで過ごすわけにもいくまい! 財布だって入っているのに!

 だが、真っ白になる脳内。どうすれば良いのか、いや、フロントに行くしかないけれど……それでもなんと言って説明すればいいのか。
 トラブル英会話に、鍵を閉じこんだときの例文なんてない!

 とりあえず必死に、「鍵を壊すための何かを貸してください」とか「何故なら、私は鍵をなくしてしまったのです!」とあわあわ言ってみたところ、初めは怪 訝な顔はされたけれど、何とか伝わり、「俺がこの歯で壊してやるよ」とジョークで返してくれました。
 翌朝に器具を借りてきて破壊してくれるということでしたが……まあ、その夜は気が気でなかったのは言うまでもない。


 ところで、部屋にも異変が。
 夜になっても誰も来ないので、このままひょっとしたら二人なんじゃないかなーとか思っていたら、夜遅く出現したのは巨大なバックパックを背負った体格の 良いお兄さん。
 訊ねてみたところ、どうもアメリカから来たらしい。バックパックをどすんと置き、2リットルのエビアンを飲み、シャワーを浴びに行く様は、とにかく印象 に残りまくったのである。


 こんな感じで、不思議なユースホステルの初夜は更けていったのです。
3日目 8月 7日 (木) London−宴

 ちょっと、ここまで長く書きすぎたかもしれない。
 もうヤダ、こんな長い日記読みたくない! なんて思う人もそろそろ出てくると思うので……ここからは、同じ程度のペースで進みます!

 さて、夜は鍵を破壊するという夢にうなされ、朝も早く起きてしまい、非常に辛い心境の中で一日がスタート。
 二段ベッドの上で、ぼーっと音楽を聴きながら、部屋を見てみると、昨夜やってきたアメリカ人以外にもう一人謎の女性が眠っていたり。

 ……誰だろう。

 そんなことをいちいち気にしていてはいけないのです。何故ならそこは謎のユースホステル。
 謎の人々が集まってもおかしくはない。

 さらに視界に入ってきたアメリカ人エビアンにーさんは、上半身裸、下はパンツ一丁と いうアメリカンスタイル(なのか?)で眠っていらっしゃったり。
 すごく、開放的ですね。

 彼は一度だけ目を覚まし、僕に「今何時だい?」と訊ねてきたので「9時半ですよ」と答えてみたところ、「そうか」というノリで二度寝をなさったり。
 何時に起きるつもりなんだろう。

 さてさて、そんなことはどうでもいい。
 自転車のチェーン破壊につかう巨大バサミを使ってカバンの鍵を開けてもらい、伝えきれないほどの感謝を捧げて、いよいよ行動開始。
 この日は、大英博物館へ行くのですよ。

 大英博物館へは、地下鉄を乗り継いで数十分。そんなに遠い距離ではないのだが、まだ慣れていないため時間がかかるかかる。
 最寄の駅は結構都会で、一言で言うと汚い感じ。そこから十分程度歩いて、いよいよ大英博物館に到着です。

 
 すげー! でっけー!

 感動をうまく伝えられないのが悔しい。
 とにかく、これぞ博物館といった感じ。どこかの神殿かと思ったよー。

 これで、入館料無料。本当に素晴らしい。
 何度も言うが、物価は高いんですけどね。

 中では、エジプトのゴシップストーンを初めとする、なんだかどこかで見たことありますよ的な展示品が溢れていました。
 地図を見る限りだとやたら広いし、どれを見てもすごい感じだし、視線がいったり来たり。

 
 これ、パルテノン神殿の彫刻。
 何故ここにあるのか。

 
 ハァイ、アイアムモアイ。

 
 やあ、僕は国宝百済観音像! 日本からはるばるやってきたんだ!


 すごい、感想は……すごい。
 だがなんだろう、この雑多な感じは、という印象も。

 ギリシャから持ってきたり、中南米から持ってきたりと、世界中のものをかき集めた感じだったので、ブースを移動すると全然違う印象。
 移動距離は多いし、目に飛び込んでくる情報量はすさまじく多いし、体力はガンガン失われていき、何度か椅子に座って休憩してみたり。

 英語だから、展示品一つ一つの説明を読むなんて、そんなことできません!


 そんなわけで、一通りをさっと見て回った後は、サンドイッチを食して退散。
 サンドイッチは美味しかったですよ。チーズが美味。パンは堅いけどね、ハズレではない。

 その後は、ユースホステルへと戻るわけだが、最寄の駅ではなくその一つ前の駅で降りてみたり。
 理由は簡単。超巨大デパートであるハロッズがあるからである。

 ハロッズは歴史情緒溢れるデパート。外装も内装もレトロな感じなのに、使われている技術はハイテク。もちろん、何度も改装した結果だと思うけれど。
 買いたい物が特にあったわけではないのですが、異国のデパートというのを覗いてみたかったのだ。

 本屋では、マンガを発見。
 ただ、あまり種類は多くなく、「ワンピース」「ナルト」「ドラゴンボール」などのジャンプ人気作品が少々ある程度。
 イギリスでは日本のマンガがあまり盛んではないご様子。
 ただ、それでも英語版のマンガは面白い。
 「Are you talking about Cririn !(クリリンのことかー!)」とか「It's a great ! It's a cool !(すごいぞー! 格好いいぞー!)」とか、激しくツボにはまりました。

 その後は、いわゆるデパ地下にて、ピラフと鳥のソテーを購入。美味しそうだったので、つい買ってしまった。
 ユースホステルに帰って食すと、やはり美味い。結構美味い。
 イギリスは食事が不味い、というイメージを持っていたが、ここまでハズレることはなし。

 そうして幸せな食事を満喫していると、鍵を破壊してくれたお兄さんが「今夜みんなでバーに行かないかい?」と誘ってくれたので、男は度胸、何でも試してみるのさ、とお疲れモードなギンコを無理矢理連れて、ホ イ☆ホイ行くことにしました。
 バーは、近くにある大学キャンパスの中にあって、リーズナブルな価格で飲めたり。
 飲んだのはビール。日本のよりも少し味が濃くて苦味が強い感じでした。巨大なジョッキに並々ですよ。

 そして始まった飲み会。
 結構たくさんの人が参加していたのだけれど、どうも恐々としてしまい話すことが出来ない我々二人。
 ちょうどよく酒が回ってきた頃に、フィールドワークのためのアンケートも兼ねて、勇気を出して話しかけてみました。

 マンガに関しては、ドラゴンボールとポケモンがやはり知名度高し。
 遊戯王を知っていたりと、なかなか興味深い。
 だけど、ポケモンは日本の作品、というのを聞いて驚いている人もいたし、やはり興味があるかないかなんでしょうかね。
 関係ないけど、ビートルズをアメリカのバンドだと勘違いしている人もいるぐらいだし。

 ちなみに、秋葉原は結構世界中で知られているのかと思ったけれど、訊いてみた中では全滅。
 これは、もっと知られているかと思ったので驚き。

 そういった話は、まあ興味深いなーということにしておき、打ち解けてきたのと、英語に対する恐怖心が薄れてきたので隣に座っていたフランス人集団と会話 をしてみたり。
 どこで誰が教えたのか、「キスしてー」と日本語で言ってきたので、「ジュテーム(愛していますよ)」と返してみたり。ちなみに、男同士ですが。アッー!
 
 あとは、「beautiful」は日本語でなんと言えばいいのか、と訊いてきたので、「“美しい”ですよ」と教えてみたら、「美しい、キスしてー」と言 い始めたり、「フランスで“fair moi l'amour”という言葉を言えば、女性に好かれるよ!」ということを教えてくれたり。
 日本に帰ってから調べてみたが、「愛を下さい」的な意味なんだろうか。ひょっとしたら性的な意味があるかもしれない。
 どっちにしろ、飲み会でそういったノリになるのは、万国共通なようだ。


 酒も回り、眠くなったのでお開きを待たずに我々は部屋へと戻り、ベッドへダイブ。
 何だかんだ言って、結構歩き回ったわけで、疲れが随分溜まっていたのです。
 夜10時……何故かバックパックのみを残していなくなったアメリカ人エビアンにーさんの行方を気にしつつ、穏やかな夢の中に落ちるのでした。
4日目 8月 8日 (金)  London→Oxford→London−苦難の道のり

 旅も始まり、ついに4日目……まだ4日目!
 朝は普通に目が覚め、昨晩いつの間に帰ってきたのか、アメリカ人エビアンにーさんが上半身裸で眠っているのを確認したり。
 彼の目覚まし時計が鳴っていたが、普通に布団の中へともぞもぞとしまいこんでいました。

 ……一体彼は何処で何をしてきたのだろう。

 目を覚ました彼は、パンツ一丁で凛々しく部屋の真ん中で仁王立ちをしていたが、それにあまり触れてはなるまい。

 この日は、ロンドンから日帰りで少し遠出をしてみよう! ということで、電車に乗ってオックスフォードというところへ行くことに決めていました。
 ちょっと乗り継ぎとか大変かなーと思ったけれど、そういった鉄道の旅に便利なのが、トーマスクック時刻表。
 もうね、ここから先の旅でこの本はかなり重要な役割を果たすわけで、この本には足を向けて眠れないですね。棄てちゃったけど。

 それはさておき、朝早くからターミナル駅へ移動。
 電子券売機でオックスフォード行きの往復切符を購入し、さあ出発……と電車に乗り込んだまでは良かった。
 そのときに気付けてよかったと思う。

 僕は行き用のチケット、ギンコは帰り用のチケットを持っていたのである。

 あれ?
 ニ枚だけ?

 これはいかに。一枚で往復ではなく二枚で往復分だとしたら、一人分足りない。
 いやだがしかし、券売機ではしっかりと二人分の料金を払ったのである。それはどういうことか。取り忘れかっ!?

 慌てて電車を下り、切符を購入した券売機へ急いでみるも、取り出し口に取り忘れた切符はなし。
 購入してから15分近く経過していたので、仕方ないといえば仕方がない。
 ……が、仕方ないでは済ませたくないのが心情。博物館は無料だったが、その他が高いのがイギリス。
 なんと、ロンドンからオックスフォードまでの往復にかかる金額は一人あたり4000円。交通費が無茶苦茶高いのだ。

 というわけで、やはりあわあわ言いながら、買ったけれど取り忘れたことを説明。
 チケットカウンターでも、通じないながらも必死の説明によりなんとか調べてもらうことに成功。ぶっちゃけ、心臓はバクバクですよ。
 でも、結局お金を払ったことが証明できなかったために残念ながらもう一回買うことに。
 非常に残念だし勿体無いけれど、教訓にはなったと思います。


 そうして、少し問題はあったものの、再購入して出発。一時間後にはオックスフォードにたどり着いたのです。
 オックスフォードは学問の町と呼ばれる伝統的な都市で、大量のカレッジが存在し、世界中の学生が集うところです。

 雰囲気は落ち着いた感じ。8月だというのに肌寒いのが印象的。

 
 こーんな感じで、メインストリート以外はのんびりしていました。

 とりあえず、昼食の時間だということもあり、簡単に入れるだろう、と、初めてのレストランはピザハットに決定。
 それでもやはり、システムに戸惑いながらもピザの注文に成功。そして、このとき我々は大きな収穫を得たのである。それは何か。

 「この7UPって飲み物は何だろうね」
 「試してみようか」

 この会話がなければ、僕らの旅行は大分変わっていた(かも)。

 ここで、7UPという飲み物との出会いを果たしました。
 ソーダなのだが、ライムとレモンによりほのかに甘く、されど甘すぎないという絶妙な味。一口飲んだときに二人で、これは美味い! と感動を覚えたので す。
 これ以後、ことあるごとに7UPを飲みまくったり。7UP中毒はこのとき始まった!


 食後はCD屋やブティック、さらには巨大な本屋があるメインストリートを抜け、観光名所らしいキリスト教会へ。
 観光名所、と地球の歩き方には書いてあったのだが、ついてみると、そこはとても静かで人一人いない静寂に包まれた神秘的な教会。

 
 高い塔があった……が、のぼるにはお金がかかるとか。ちょい残念だ。

 
 中はこんな感じ。中には誰もいませんよ。

 粛々としていて、教会そのものが持っている神秘的なオーラを全身に浴びるような、まさにそんな感覚。
 ステンドガラスも、燭台も、椅子も何もかもがそれぞれがあるべきところにあるように、ピタリとマッチした空間……なんて言ったら良いのだろう。全てが しっくりきている感じですね。

 ここは、高ポイント。
 全ての行程を終えてから振り返ってみても、こんなに静かで美しい教会はここぐらいだったのではないか、と。
 べた褒めだが、それぐらい言っても問題ない。


 そうして、教会を出た後はあっちへブラブラこっちへブラブラ。
 この町は、本当にのんびりとしているし、歴史情緒ある建物は素敵だし、とにかく素晴らしい町なのです。

 
 こんな建物に囲まれていたら、ついつい探検したくなるだろう?


 こうして、オックスフォードを十分に満喫し、ロンドンへとゲットバック。
 ユースホステルについてみると、何故か三組あったベッドが二組に減り、しかも今まで我々が使っていたベッドが撤去されていたりと、やはり不可思議現象が あったり。
 まあ、このユースホステルならば仕方がない、と何があっても驚かない体勢で、早いうちに寝ることにしました。

 ちなみに、アメリカ人エビアンにーさんは今度こそ旅立ったご様子。
 だが彼は、この旅行中僕らの話のネタにされ続けることになりました。「Do you know magic?」という謎の決め台詞とかまで考えちゃったい。

 そして次の日、いよいよこのユースホステルに別れを告げるのである。
5日目 8月 9日 (土)  London−まふまふもふもふ

 ……というわけで、少し雲はあるものの素敵な朝を迎えました5日目。
 謎めいていたユースホステルに別れを告げ、爽やかにカートを転がして出発。
 目的地はセント・パンクラス駅……理由は、翌日にはイギリスを出てフランスに行くため、大陸横断鉄道ユーロスターの予約をしなければならないのです。

 しなければならない、ということはどういうことか。
 最初に書いたとおり、自由度を高めるためにあえて電車の予約などは一切せずに旅立ったからである。それゆえ、予約は早めに行なわなくてはならない……翌 日は日曜日だしね。

 ちなみに、当初の予定はイギリスの田舎へもっと出かけよう、とのことだったのですが、イギリスの物価の高さに滅入りまくり、先日のオックスフォードでの 金のぶっ飛び具合とか、あと田舎のホテルの高さなどに心がバキバキと折られたので、イギリスを予定より早く出国することにしたのです。

 ノリは、もうやだぁーイギリスでるぅー。


 というわけで、やってきましたセント・パンクラス。
 巨大ターミナル駅ということで、やっぱり人が多いですね。すごいですねー。

 で、早速翌日のユーロスターを予約。
 我々はユーレイルグローバルパスなる、電車の乗り放題券(予約代別)を持っていたのですが、イギリスでは使用不可ということで渋々高いお金を出すこと に。それでも多少の割引はされるわけですが。
 50ポンドですからね、高いですよ……1万だからね。

 が、後で知ったことだが、普通に払うと3万近くかかっていたところを、ユーレイルグローバルパスのおかげで1万まで割り引いてもらえたこと判明。神さま 仏さまグローバルパスさま。


 予約も無事終了したことで、近所でホテル予約へ。
 初めての現地でのホテル予約に、心臓は高鳴りまくりですよ……。

 さて、地球の歩き方を参照にやってきたのは小さなホテル。
 そこで、「部屋空いていますか? 二人部屋はありますか? 私たちは一泊したいのです」と質問。以後、これはテンプレ化されていく……。

 だが現実は上手くいかない。「部屋は一杯だねー」とお兄さんに言われてしまい、いきなりショック。
 それでも優しいお兄さんは、僕らのために別のホテルを紹介してくれました。
 予約手数料は取られたけれど、そのホテルまでのタクシー代も出してもらえたし、親切に大感謝。

 「君たちは日本人? 僕はバングラディッシュ人SA!」と白い歯を見せながら親指を立てるお兄さんは、今でも印象に……。


 そしてタクシーに乗り、イギリスのタクシーの礼儀正しさに感動しながらホテルに到着。
 無事チェックインも済ませ、荷物を置いて市内観光に出かけます。駅まで数十分の距離だったし、結果的には超オーライ。


 さて、最初に向かうのはセント・パンクラス駅……実はこの駅、映画「ハリー・ポッター」シリーズでハリーたちが出発する駅の撮影に使われたみたいです。
 ハリーたちが出発する駅の実際の設定は、すぐ隣にあるキングス・クロス駅ですが。

 そんなわけで、せっかくなのでキングス・クロス駅にも立ち寄ってみました。

 
 なんか、こう、ヨーロッパの駅ーって感じ。
 最後のほうにはもう見飽きた感溢れたけど、このときは超新鮮。

 ついでにハリーたちが出発する9と3/4番線も探してみました。

 
 あったー! 激感動!

 カードが半分壁にめり込んでいて、そこに手を置いて記念撮影が出来るわけです。
 長蛇の列が出来ていたので、さすがに自分らは撮れなかったけれど、白人さんの方が様になっているよね?


 さて、そのあとは駅のコンビニ的なところで、夜にホテルで食べるためのパンを購入。
 かなり大きいフォカッチャが6つ入っており、さらにリーズナブルな値段にひかれたわけですが、これが後に悲劇を生む。


 地下鉄を乗り継いで、市内観光に向かい最初に訪れたのはテムズ川がすぐ横に流れる、これぞイギリスといわんばかりの建物……。

 
 ビックベン。

 着いた時間が惜しかった。
 もう15分早ければ、鐘の音が聞けたんですけどね。

 やたら「恵まれない子供のために花を買ってください」と、無理矢理渡してくるおばさんが多数いたり、観光客がかなり多かったりと、騒がしいところでした ね。ただ、ビックベンは壮大、それだけだ。

 
 振り返ると、みなとみらい21。
 嘘です、テムズ川です。

 空は曇っていて、ぽつぽつ雨が降り始めて寒い。


 そして、再び地下鉄で移動。今度向かうのはここだ!

 
 タワーブリッジ。

 意外と間違えやすいのだけれども、これはロンドン橋とは違ったり。
 ちなみにこのとき、雨が本格的にすごいことになり、雨粒で眼鏡が曇ってしまい「もはや前が見えん……タワーブリッジはどっちだ」状態になっていました。
 ちなみにこの言葉、何故かギンコとヒットしたために、残りの旅でしばしば使うことに。
 元ネタは「ダイの大冒険」ね。

 雨も強くなりまくり、おなかも減ったので近くにあった売店で、フィッシュ&チップスを購入。
 フィッシュ&チップスって知っているかいな? 僕は行く前からイギリスの代表的なファーストフードと聞いていたために、味はともかく一度食べてみたかっ たのです。

 出てきたのは、トレーいっぱいのフライドポテトの上に、白身魚のフライ、そしてレモン。見るからに、美味しそう。
 ケチャップとタルタルソース、そしてマスタードをぶっかけて、不健康にもコーラと一緒にレッツイートなのですよ。

 味? 美味しかったですよ。オイシカッタデスヨ。

 ……おいし……ちょ、油、量、おま、フライにフライって……。


 ごめん、残した。

 味は良いのだが、腹に溜まりまくる。さすがに全部食べることは出来ず、ギンコと二人でギブアップ。
 僕はともかく、ギンコがギブアップするのは初めて見た。


 そうこうしているうちに、雨はますますひどくなり、耳も痛くなりはじめてきたので、食事後は退散。
 お土産を購入した後、ホテルへと戻りました。
 まさか、あんなに寒くなるとは思わなかった。


 そして、ホテルでのんびりして適当に夕食。
 今振り返ると本当に不健康極まりないメニューだが、とにかくケチャップと野菜が乗っかったフォカッチャを2人で3つずつに分けていただき……ま……。

 味が……ないっ!?

 それは衝撃だった。
 ケチャップもオニオンも乗っかっているはずなのに味がない。
 あるのはもふもふという感触のみ。口の中の水分がガンガン失われていき、咀嚼して嚥下の繰り返し作業に。

 会話もなくなり、雨音とくちゃくちゃという音だけが響く部屋。
 この旅行、三大がっかりメニューの一つに見事ランクインすることに。ひどすぎる……。

 はっきり言って、あの食事は戦いだった。
 「もう無理だよ……いや、でも、まだいけ……る?」的なノリで、結局頑張って完食。味が無いのはとにかくひどい。


 イギリスの食事うめぇぇぇと言っていられた最初の日々が懐かしい。
 ああ、やっぱりイギリスはがっかりなものもあるんですね、と実感。改めて雑な食文化を認識させられました。
 いや、選び方が悪かっただけだと思うけどね。

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